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自己肯定感について

自己肯定感とは

自己肯定感とは、Self-esteemの訳語であり、「自尊感情」「自尊心」「自己尊重」「自己評価」とも訳されています。研究の分野では「自尊感情」が、教育や一般では「自己肯定感」ということばが用いられています。

自己肯定感には、さまざまな定義がありますが、「いいところも悪いところも認める気持ち」(児童精神科医 古荘純一氏)と定義してます

自己肯定感は、自分をかけがえのない価値ある存在としてとらえる気持ちです。私たちが精神的に健康に生きていくために必要な心理的基盤であり、社会への情緒的適応や健全な精神機能にとって重要な要因と言われています。

なぜ自己肯定感が必要なのか

自己肯定感が大切なのは、日常の経験で出会うさまざまな出来事を肯定的なものととらえるメカニズムを支えているからです。自己肯定感が高いか低いかは、子どもの将来の生き方にも影響します。

子どもが「自分は○○ができる」という感覚は自己肯定感を支えていて、その感覚を確かなものにするのは、他者からの賞賛や承認です。それが自信を持って行動する心理的基盤になります。さらに、さまざまな体験の蓄積が、自己肯定感を支えるという循環的な関係を生み出していくのです。

 一般に、自己肯定感の高い子どもは低い子どもに比べて、物事に積極的に取り組み、何事にも挑戦し、困難に出会っても立ち向かう、最後までがんばるなどの良い資質があると言われています。

ところが、近年自己肯定感の重要性が教育の分野で言われるようになった背景には、暴力行為や、不登校やいじめが日本における大きな教育課題となったことがあります。自分に対して自信の持てない子どや、将来に対して夢や希望の持てない子どもの増加が指摘されて、生きる力とかかわって自己肯定感の育成が教育課題になってきたのです。

同時に、国際比較をした複数の調査から、他国に比べて日本の青少年の自尊感情が著しく低いことが明らかになりました。

「私は価値ある人間だと思う(全くそうだ)と答えた人の割合は、米国57.2%、中国42.2%、韓国20.2%、日本7.5%と、日本の青少年の自尊感情の低さが明らかになった」(日本青少年研究所2011)等

こうした、世界の中での日本の青少年の自己肯定感の低さに危機感を感じ、自己肯定感を高める取り組みに注目が集まってきたのです。

自分を表現できると自己肯定感は高くなる

自己肯定感の向上を図るには、他者から認められる良好な人間関係が必要です。

そのためには他人とうまく付き合っていけるような対人関係技能、すなわちコミュニケーションスキルを獲得する必要です。つまり、自己肯定感を上げるには、コミュニケーションスキルを身につけることが重要な要素なのです。

欧米では、幼いときから他人とは違う自分なりの意見を持つように教育されます。自己主張の発達と自己肯定感は正比例すると考えられているからです。たとえ10人の中で1人だけ違う意見だったとしても、堂々と自己主張することが大事と教えられます。

 自分の頭で考え、それをはっきりと自分のことばで伝える自己主張の発達は、自己肯定感の発達と深く結びついています。自分のことばで自分の考えをキチンと相手に伝えることができるのは、根底に自分への自信があるからです。自分の考えを持ち、それをことばで表現して人とコミュニケーションできるようになることで、さらに自己肯定感が育ってきます。

 ところが、謙虚さが美徳とされる日本では、自己主張はかならずしも良いこととは思われていません。集団の中で一人だけ目立つことを避け、自分を強く打ち出し過ぎることはマイナスの感情を持たれてしまいます。むしろ用心深く自分を出すことなく、周囲に合わせていく対人行動が好まれます。

 では今後も、己主張や自己肯定感に対する捉え方はこれまでと同じであり続けるでしょうか。

いいえ。私はそうは思いません。

すでに、ビジネスの現場では、プレゼンテーション能力が重視されています。会議で自分の企画を通すためには、自信に満ちた態度で根拠やデータにも続いた論理的な説明が求められます。従来の日本的な根回しというやり方とは違う、コミュニケーションスタイルが求められています。

そのためにも、自分の考えをことばにして伝える力、人の話を聞く力をトレーニングしながら、自己肯定感を育てていきましょう。

ことばキャンプで自己肯定感がアップ

「ことばキャンプ」では、自尊他尊のコミュニケーションをめざしています。自分の気持ちも相手の気持ちも大事にして、じょうずに伝えられるチカラを楽しく練習しています。

 「ことばキャンプ」をした子どもは、「自信を持って手をあげたり発表するようになった」「自信を持って書いたり話したりするなど、自分の行動への他の子どもの視線を気にすることがなくなった」「他人に惑わされなくなった」などの報告が数多く寄せられています。。

 相手の気持ちを大切にして、自分の気持ちを自分のことばで伝える力をつけてみませんか?それは子どもが友だちや周囲の人との良い関係を結べるだけではなく、自己肯定感を育てることになるのです。いじめに合っても屈することなく、悪い誘いを「イヤだ」と拒否できるなど、子どもが将来にわたって身につけてほしい、大切な心の強さにつながっているのです。

 

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